西安通信

第4回 未病とその原因について


外因と内因

 どうも体調がおかしい、病院へ行ってもはっきりしない。こんな状態を中医学では「未病」-まだ病気になっていないけれど軽視してはいけない状態として治療を勧めています。何故なら、未病は大病につながる危険性が高いからです。例えば咳が長く続くと喘息に、ゲップは胃ガンに、皮膚の痒みはアトピーに、水太りは糖尿病にとつながります。未病を引き起こす原因は三つ。No3で紹介した「外因」「内因」「不内外因」です。 「外因」は気候条件です。異常気象による大気の急激な変化や、暖房・冷房等の人為的な環境の変化に身体がついていけなくなります。特に夏は、皮膚の汗腺が開き、発汗して身体に熱がこもらないように対応していますが、この時にクーラーの風に当たると身体の中に「寒」が容易に入り込み、体調を崩してしまうのです。 「内因」は感情の乱れです。現代の日本で特に目立つストレスは、大きく二種類に分けられます。仕事、人間関係、受験等による外部からのもの。そして自分であれこれ考えすぎてしまう内部からのものです。後者は真面目な人によく見られます

冷たいものは何故悪い?

 三つめの「不内外因」は食事の不摂生と生活の乱れを指します。よく「冷たいものは控えるように」と注意を受けますが、何故冷たいものはダメなのでしょうか? 冷たいものを食べると、まず胃が急激に冷やされ、働きがストップします。次に消化吸収作用が低下し、胃と密接な関係にある脾に影響を与えます。脾は水分代謝や免疫機能に関わる臓腑です。この脾が過冷食品によって障害され、身体に余分な水分が溜まったり、免疫が低下して様々な病気にかかりやすくなってしまうのです。 また、温度に関係なく、食品には身体を冷やすものと温めるものがあります。同じお茶でも緑茶とウーロン茶は冷性、紅茶は温性です。温かい日本茶も飲みすぎると水分代謝が悪くなります。冬場は紅茶を飲むようにしましょう

ギックリ腰は日頃のツケ

 ギックリ腰は重い物を急に持ち上げたり、朝起き上がったりした時に起こりやすいと言われています。しかしこれらはきっかけであって、直接の原因は日頃の生活にあることをご存知ですか?
 中医学では「急性腰痛」と呼ばれ、「気」が腰の弱い部分に詰まったものとしています。重労働や暴飲暴食、過度のセックス等により「気」は消耗され弱ってしまいます。お酒の飲みすぎも原因の一つです。お酒によって血液の循環は良くなりますが、体内で分解するのにかなりの「気」を要します。乱れた生活を続けると、力なくヨタタの「気」は、身体を支え、負担のかかる腰の周りで(身体の弱っている所)流れるのをやめてしまうのです。ですからギックリ腰は、「いい加減生活を改めて下さい」という身体からの手痛いメッセージと言えましょう。 もしギックリ腰になってしまったら、あわてず動かず、鼻から吸って口から吐く深呼吸を何度か繰り返します。次にゆっくり腰を回してみましょう。整体と鍼治療は高い効果がありますが、冷湿布や鎮痛剤の注射、牽引等の後では筋肉が硬くなっている為、普通より時間がかかってしまいます。まずは深呼吸、そして温めて「気」を流すことが大事です。