西安通信

第6回 漢方薬(中薬)について


処方は中医学論に基づいて行われる

 漢方薬の主な成分は、植物(葉・根・花など)、動物(骨・臓腑など)、鉱物(石など)の三つです。それぞれの薬性は「寒・熱・温・涼」の四つに分けられます。味は「辛・酸・甘・苦・咸」と五つあり味によって効能が異なります。さらに「帰経」といってその薬物がどの臓腑経脈の病変に効果があるのかが分けられています。一種類の薬物で複数の臓腑経脈に有効する場合は、その薬物の治療範囲は広いという訳です。
 漢方薬は、病人が訴える表面的な症状(痛み、発熱など)よりも、病気の元となる部分「証」と体質改善に効果的です。「証」とは、医師が四診(望診・聞診・問診・切診)によって診断したもので、本質的な病因を指します。同じ頭痛でも、「証」は人によって異なります。前述したように複雑な漢方薬の中から、各人の「証」に合った処方をするのは専門家でなければ出来ません。漢方薬の処方は推拿や鍼灸治療と同じで、中医学論に基づいた診断が必要なのです。

漢方薬にも副作用はある

  日本では「漢方薬には副作用がない」と信じている人が多いようですが、実は漢方薬にも副作用はあります不適切な診断による処方や、患者の勝手な服用などで漢方薬は逆効果になるばかりか毒に変わることもあるのです。例えばゾクゾクする風邪には一般的に熱性の薬を、暑くてのぼせる風邪には涼性の薬が必要です。これが逆だったらどうなるでしょうか?またゾクゾクする風邪でも症状は色々で、自分の好みや薬剤師の勧めで安易に漢方薬を服用するのは考えものです。性格な診断と処方は、医師にしか出来ないということを覚えておいてください。
 また漢方薬を服用する際には、薬によって幾つかの決まりがあります。妊婦の服用禁止、服用期間の食事制限(なまもの、辛いものの禁止など)、セックスの禁止などです。これらを守らない場合は治療効果の半減や逆効果、流産にもつながります。
 最近ブームになっている「冬中夏草」や「朝鮮人参」、「霊芝」などの滋養強壮剤も乱用するのは危険です。これらは熱性で栄養価が高いため胃に負担がかかります。呑み過ぎるとのぼせ、不安感、口の渇き、不眠などの症状が出ることがあります。精力剤は麻薬と同じで、常に興奮状態を保つので体力を消耗し、心臓にかなりの負担をかけます。流行や速効性に惑わされて、自分の寿命を縮めないようにしましょう。

花粉症の予防について

 花粉症の原因は本当に花粉でしょうか?同じ環境の中で、なる人もいれば全く平気な人もいますし、ある年に突然悩まされ、翌年は大丈夫という人もいます。中医学では花粉症は、体質の変化時における身体の免疫、消化吸収力、新陳代謝の低下によって、花粉に対し異常に敏感になったものとかんがえています。猛暑の翌年花粉症患者が増えるのは花粉の増量だけでなく、夏場の疲れや冷たいものの飲み過ぎなどで身体が弱っているからなのです。予防としては、日頃から消化の悪いもの、刺激物、なまもの、過冷食品、お酒をひかえること。肺を使う運動をすること(朝の深呼吸、散歩などでよい)。部屋の換気に気を付けるなど、普段の生活が大事です。

風邪対策いろいろ
カップ一杯程度のお酢を鍋に入れて沸騰させ、その蒸気を吸う。咳、喉、気管支に効果があり、部 屋の中が殺菌されるため家族への伝染も防ぎます。匂いはすぐに消えるので心配ありません。
・電車内やソファでのうたた寝は風邪を悪化させます。寝るときは着替えてちゃんと寝ましょう。
・インフルエンザなど現代の風邪に対し、お酒はたとえ卵酒でも逆効果です。
・お湯をたくさん飲むことによって体内が浄化され、治りが早くなります。