西安通信

第11回 感情の乱れと臟腑の関係について


臓腑の働きは感情にも左右される

 中医学では、精神を刺激する喜、怒、憂、思、悲、恐、驚、を「7情」と呼び、それぞれ臓腑と密接な関係にあると考えています。精神への過剰な刺激は、関連する臓腑に影響し、思わぬ症状を引き起こす原因となるのです。

関連臓腑
症  状
心・小腸
不眠、健忘、やる気がない、注意力、集中力の散漫
肝・胆
頭痛、目眩、耳鳴り、目の充血、いらいら、怒りっぽい
脾・胃
吐き気、食欲不振、胸やけ、常に満腹感がある
悲・憂
肺・大腸
意気消沈、何をするにもおっくうになる、ためいき
恐・驚
腎・膀胱
不眠、恐い夢を見る、常にびくびくしている、
脱毛、失禁

 特に影響を受けやすい臓腑は心、肝、脾(胃)の3つです。ストレスによる神経性胃炎は有名ですが、女性の生理痛や生理不順に肝機能の低下が大きく関わっており、原因のほとんどが精神的なものであることをご存知でしょうか?本来は喜ぶべき事、例えば数十年ぶりの親子の再会や宝クジの当選なども、突然で度が過ぎると心にかなりの負担をかけてしまいます。また、臓腑の異常が「七情」に影響することもあります。肝を患ってから以前より怒りっぽくなったり、胃を悪くしてから色々考え込むようになったり・・・精神と身体は常に連係を保っているのです。

ヤケ酒、ヤケ食いは百害あって一利なし

 「気」は大きく三つに分けられます。
1−先天性 腎臓が司る親からもらった生まれつきのもの(原気)
2−後天性 胃、脾臓が司る食べ物から得る栄養素(営気)
3−自然界 肺が司る外気(宗気)
 これらの「気」を他の臓腑、心臓、肝臓、胆嚢、大腸、小腸、膀胱等が密接に働き、身体中を循環させています。各臓腑の働きが悪くなれば、当然「気」の流れも悪くなります。逆に「気」の流れが良くなれば、各臓腑の働きも良くなる訳です。「気」の流れる道は「経絡」と呼ばれ、目には見えなくとも血管や神経と同じように全身を巡っています。「経絡」は臓腑と臓腑をつなぎ、また、臓腑と身体の表面ともつながっています。この「経絡」上にある反応点が「ツボ」なのです。