西安通信

第14回 腰痛について その二


腰痛に伴ういろいろな症状

 中医学では腰痛を単に腰の病気とはせず、痛みは「反応」としてとらえます。

部位
痛みの特徴
伴う症状
主な原因
胸椎11〜
 腰椎1番
背中の右側から腰にかけて痛む
立っていると痛む
イライラする、口の渇き、吐き気、頭が重い 肝胆の効果低下
胆結石、胆嚢炎
油ものの食べ過ぎ
胸椎12〜
 腰椎1番
腰の左右両側が痛む静かにしていると痛む・体を動かすと良くなる 皮膚の痒み、腹部の張れ、関節の痛み 脾胃の効能低下
冷たいもの、生もののとりすぎ
腰椎1〜2番 腰の鉛がつまったような重い痛み
常時痛む
排尿困難、蛋白尿、下肢のむくみ、だるさ 腎の効能低下
冷え、慢性腎炎
尿管結石
腰椎2〜3番 体を動かすと痛む
横になると楽になる
筋肉の損傷によるものなので特になし 重い物の持ち運び
筋肉労損
腰椎4〜5番 尾てい骨やおしりまで重く痛む おりもの、生理痛、膝から下が重くだるい 生殖器の効能低下
性行為過多

* 部位は西安通信No13の図をご覧下さい。

中医学における腰痛の治療法

  上記の表はおおまかに分けたもので、一人一人の原因はすべて異なります。患者さんからの「腰痛」という自己申告だけで診断することは出来ません。慢性か急性か、先天性か後天性か、発病の時期、他の症状などを基に中医学独自の診断によって原因を解明し、患者さんに合った治療法を行います。腰痛の治療に来たのに何故お腹をグリグリ押されるのだろう?何故頭にまで鍼を刺すのだろう?と疑問に思われるかもしれませんが、これらはすべて痛みの原因を治療しているのです。腰だけのマッサージでは気持ち良くても治療になりません。表面の症状改善だけでなく、元の原因を治療することが中医学の基本概念であり、腰痛に限らずあらゆる病気に該当されます。
 治療効果を高めるには患者さん個人の努力が不可欠です。特に慢性の場合は治療に時間がかかり、1〜2回の施術で完治させることは出来ません。治療期間における日常生活の注意を守れるかどうかが大きなポイントとなります。一見腰痛には関係なさそうな点でも、とりあえずしばらくは守ってみて下さい。

腰痛の原因
日常生活での注意

肝胆の効能低下

脾胃の効能低下

腎の効能低下

筋肉の損傷

生殖器の効能低下

油ものはさける ・長時間立ち仕事をしない ・むやみに怒らない

睡眠を十分にとる

冷たいもの、生もの、甘いもの、消化しにくいものはさける・お酒はひかえる・寒い所や湿度の高い所に長時間居ないこと

水分を多めにとる・塩辛いもの、刺激物はさける

普段から運動をして筋肉を柔らかくする・運動に呼吸法をとりいれる

患部を冷やさない

生理中は冷たいものは禁止・ストレスをためないこと・性行為の自制