西安通信

第23回 中医学から見た体質


* 陰陽のバランスで体質を分ける

 陰陽学説は古代中国人の哲学で、自然界のすべてのものは陰陽に分かれていると考えられています。私たちの身体に当てはめてみると、陰には寒、湿などの性質が、陽には熱、乾燥などの性質があります。これらは常にバランスをとり合っていて、片方が強くなると片方が弱くなるという関係です。陰陽どちらも同じくらいの強さで存在し、バランスがとれているのが健康な状態なのですが、たいていの人はどちらかに偏っているようです。
 体質は遺伝的な要因、生活環境、食生活、精神状態など、いろいろな条件が合わさってできるものです。生まれつきの先天性体質が丈夫でも、長年の不摂生によって病弱な後天性体質に変わってしまうこともあります。中医学では、陰陽のバランスがどう偏っているかによって体質を分け、そのバランスを調整する治療を行います。

タイプ
主な症状
原因
気を付けること
気虚
だるい 食欲不振
風邪をひきやすい
気不足 胃腸の
機能低下
食事は腹八分目
生もの冷たいものは控えめに
気血両虚
顔色が青白い
爪がもろい
頭がふらつく
動悸 貧血
月経異常
血不足
体中に栄養を与える血の機能の衰え
イカ、鶏肉、羊肉、豚足、黒豆など
補血作用のあるものを
胃腸の弱い人は食べ過ぎに注意
サラダ、刺身を控える
陽虚
寒がり むくみ
足腰の冷え
水分代謝が悪い 冷たい飲物は禁止
運動して気血のめぐりを良くする
血虚
顔色が青白い
爪がもろい
頭がふらつく
皮膚につやがない
血不足
体中に栄養を与える血の機能の衰え
イカ、鶏肉、羊肉、豚足、黒豆など補血作用のあるものを
胃腸の弱い人は食べ過ぎに注意
サラダ、刺身を控える
気滞
イライラ
憂鬱 生理痛
お腹が張る
喉のつかえ
ストレス
暴飲暴食
セックス過多
運動などでストレス発散
不摂生な生活を改める
気のつまりを感じたらゆっくりと鼻から吸って口から吐く呼吸を
気滞血お
痔 静脈瘤
月経血に塊がある
舌裏の静脈が紫色
怒りや考え過ぎによる気のつまり 運動して気血のめぐりを良くする
ストレスをためない
体を内外から冷やさないように
陰虚
喉の渇き
手足のほてり
水分不足
香辛料のとりすぎ
辛いものは控える
喉の渇きはぬるめのお茶で
冷たいものの飲み過ぎは禁物
気陰両虚
だるい 食欲不振
風邪をひきやすい
喉の渇き
手足のほてり
過労
睡眠不足
長患い後
十分な休息と滋養のある食べ物を体を潤し滋養を兼ねた山イモ、ごま、はちみつ、くるみなど

 正確な体質診断は専門医でなければできません。薬局で薦められた薬や、中国のお土産の漢方薬を安易に常用するのは危険です。体質改善は生活改善が一番です。