西安通信

第27回 最終回 健康は自己管理から


* 身体の不調の大半は自ら招いたもの

 頭痛、背中の痛み、不眠、胃の不快感、生理不順などなど、検査では何の異常もないのに、身体の不調を慢性的に感じている人が大勢います。こうした症状に対し、中医学は適切な治療を行うことができますが、実はこれらの不調はすべて自ら招いたものなのです。睡眠不足、偏食、お酒や冷たいものの飲みすぎ、ストレスなど、日々の生活の中で原因となる要素が必ずあります。しかし毎日8時間以上睡眠をとり、三食栄養バランスのとれた食事をして、何のストレスもない生活を送るのはまず無理な話でしょう。ではどうするか?今の生活や習慣は仕方がないことかもしれませんが、改善出来る所もあるはずです。これまでお伝えした自己管理のポイントを、項目別にまとめてみました。

食事

 食べ物もお酒も薬も、口にしたものがまず送り込まれる臓腑は胃です。胃の働きが弱いと、身体にとって良いものもうまく活用できません。胃と密接な関係にある脾は水分代謝と免疫力を担当しています。つまり胃が弱いと脾も弱く、免疫力も弱いので病気にかかりやすくなる訳です。いかに胃に負担をかけず、栄養を消化吸収させるかが食事のポイントになります。
・食事量の配分は、朝昼多め、夜少なめにする。
・夜遅くや肉体的、精神的に疲れている時、不愉快なことがあった時や楽しくない場(接待など)では胃の働きが低下しているので食べない方が良い。空腹感が強い場合はパンやお粥など消化のいいものを少量に。
・冷たい飲物は胃の働きを瞬時に止めてしまうばかりか、蒸気を生んで体内の湿度が高くなり、鼻炎、皮膚の痒みの原因にもなる。気の流れも悪くなるので、腰痛や背中、各関節の痛みを起こすこともある。
・栄養は食べ物からとること。ビタミン剤などは消化しにくく、飲みすぎるとニキビや皮膚の痒みを起 こす。
・夜遅くに食事をした後や食べ過ぎた場合は、ビール酵母から作られたエビオスという消化剤を飲むと良い(薬局にて購入可)

運動

 ・ 身体に良い運動とは毎日行ってこそ意味があるもの。最低でも週3回は必要。たまにスポーツク ラブへ行って激しい運動をするよりも、毎日体操した方が良い。
 ・ 自分が摂取したカロリーに合った運動量を。その日に得たカロリーはその日のうちに消費する。
 ・ 運動は朝から日中までに行うこと。夜に激しい運動をすると、身体は疲れても脳が興奮して熟睡出来なくなる。
 ・ 大汗をかく運動よりも、体内に多くの酸素を送り気のめぐりがよくなる運動を。鼻から吸って口か ら吐く呼吸法を取り入れること。

精神

 ・外部からのストレスよりも、自分であれこれ考えすぎる方が病気の原因になりやすい。考えても仕方がないことをいつまでも引きずらないこと。
 ・ 自分と100%意見の合う人は自分しかいない。相手が変わることを望むより、自分の考え方を少し変えた方が解決への早道になり、ストレスも減る。
 ・ 激しい怒りやショックなど精神的なことが原因で気がつまり、肩、肩肋骨の下,下肢が動かなくなる程急に痛くなることがある。度々起こる人はストレスの解消方法を考えた方が良い。

治療

 ・ 病気の治療は医学半分、本人の努力半分であることを忘れずに。
 ・ 西洋医学と中医学では、時には治療方法が逆のこともある。薬を長期服用していたり、外科的手術をした後での中医学の治療は時間がかかる。